BOSS THE MC MONTHLY REPORT 2004.11

ども 寒くなってきましたな。こっちは1度どかっと雪が降りました。忘れていた季節がやって来た。
 
思えば..................2002年正月から毎月ここであれこれ思うことを話してきた。長旅から帰ってきて一気に
最前線に飛び込み、毎回ライヴ、レコーディングにベストを尽くしてきた。この3年俺達THA BLUE HERB、
THA BLUE HERB RECORDINGSを囲む状況は爆発的に、劇的に何もかもでかくなった。思ってたよりもでか
くなった。2000年「時代は変わる」を、そして2001年「ONLY FOR THE MINDSTRONG」をリリース
した時も「随分浸透してきたな」とは思ってたが、今はその頃の状況すら1つの通過点だったんだと実感す
る。レーベルとしてはこの3年、アナログシングル15枚、アルバム7枚をリリースすることが出来た。去年
は毎月1枚リリースするという目標も達成できた。本当に皆には世話になった。神出鬼没の解放勢力のように
日本中あらゆる街の店頭に皿を運んだ。ライヴで訪れた街から、ライヴ翌週に入る大量のバックオーダーは俺
に、日本はまだまだ広いこと、まだまだ聴いてくれる人が増えていることを実感させてくれた。数多くの理解
者に出会えた。時代は確かに変わったが、変わっていないものもあった。どうでもいい曲も、ラッパーも相変
わらずたーくさんいるし、俺等の事をそう思う人も同じくたーくさんいる。キャンキャン鳴く連中も相変わら
ずたーくさんいる。しかしライヴで訪れる先々、当の俺が目にしたのは身に余るほどの理解者だった。ここが
最高の場所である、なりたかった状況である、まじでそう思う。
 
そして遂に、再びこの季節がやってきた。全ては繰り返す。来る2004年末で全てのライヴを休止し、サイ
トを閉鎖し、再び旅に出ます。場所をめぐる旅、思索の旅、俺自身THA BLUE HERBの3枚目のアルバムを出
口としての旅に出ます。そろそろ本格的に「弾」を創らなくてはならない。「新たに始める」には何かを「終
わらせなくてはならない」。信念を持ってして、この巨大な現在進行形の動きを終わらせます。
 
11月19日の北見から、12月30日札幌まで「TERMINATORZ TOUR」を敢行します。「終わらせる」た
めのツアーです。2002年5月大阪ベイサイドジェニーからの長い道のりのクライマックス。大と二人だけ
で、1MC 1DJの極限を探し、隙間を探し、反復し、乗り越えて、醸造してきたライヴセットの第2期最後の
大立ち回りです。是非見届けてくれ。これまで数々の現場で俺等のライヴを見に来てくれた人、本当にありが
とう。俺等にとっては毎回、全てのライヴが貴重な経験になっている。しかし全ては過去だ。過ぎて去ってし
まった時間の記憶だ。もう1度、ここまで来たら、とことんまで付き合ってくれや。日暮れを見届けようや。
これは後でゆっくり話すが(今回は話すことがたくさんある)俺等、THA BLUE HERBは2002年3〜5月
まで雑誌にかなりインタビューで出た。その時俺等を知ってくれた人も多いと思う。その前からも俺等の事を
知ってくれてた人も多いと思う。しかし数ページのそれはやはり、どこまで話しても結局はただのインフォ
メーションである。本質まで入りかけたインタビューも多々あった。残ってしまうから永遠と思いがちだが、
結局はただのその時点での、インフォメーションだ。発展でも、退化でも何にせよ全ては動いている。変化す
る。俺等とは何者か?イメージ、噂、思いこみ、多くの賞賛と中傷.......。当たっていても、外れていても、そ
れらがいかにTHA BLUE HERBのごくわずかな部分しか言っていなかったのか、それとの闘いの19回のライ
ヴ。俺等も全身全霊でぶつかって行く。これでダメなら、分かり合えないのならしょうがない。悲しいがここ
じゃよくある話だ。しかしもし、もし何も観ずに俺等に結論をつけているのなら、俺は絶対引けない。俺等と
は、THA BLUE HERBとは一体何者だったのか?その目で、耳で、あなたにしかない心で観に来いや。同じ時
代、同じ国で、同じ言葉を話す俺等の生身そのものを、観に来いや。しかしながらそうは言っても、遠くの町
に住んでたり、仕事もある、調子が悪い時もある。でも、それでも、俺はこう言うしかない。あーしろ、こー
しろで悪いが、何とかして観に来いや!もうすぐこのパーティーが終わっちまうぜ!!
 
北見へ  今年2回目のライヴ。お互い距離が近いあの箱で、ツアー一発目、そこで弾みつけるぜ。
     
旭川へ  こちらも今年2回目、通算3回目。前回のは最高にシンクロしたな。あの上に行こう。
 
大分へ  初上陸!会えるのを楽しみにしてるよ。真っ青な日本のHIP HOP。堪能してくれ。
 
熊本へ  クラッシュさん、HIDE、そしてO.N.O。豪華な夜だ。がっちりぶっとんでくれ!
 
松山へ  四国初上陸!わくわくしてまっせー。北の冬から直送。夜を分け合おう。
 
福岡へ  1年ぶり。4回目。先月遊びに行ってました。今回も音が良い箱です。あり得ない底を覗こうや。
 
函館へ  5回目。俺の故郷。デカイ錦を飾るつもり満々。いつもの面々と会えるのを楽しみにしてます。
 
山形へ  3ヶ月ぶり3回目。前回の記憶もまだ残ってる中、あれの、更に上目指して登って行こうぜ。
 
福島へ  初上陸!お互い随分待ったな。ライムの理由を聴きに来てくれ。気合い入ってるぜええ。
 
仙台へ  2回目。前回はここも最高な初対面だった。俺等はもう仲間だ。今回もデカイ力を貸してくれ。
 
名古屋へ 今年4回目、通算8回目。お互い随分深い所まで来た。本音一発。受け止めてくれ。
 
大阪へ  復帰初戦の地。通算ではもうわからん。前回の奇跡の夜を再び。今年のクリスマスは空けてくれ。
 
京都へ  ここも通算ではもうわからん。ファミリー達よ、集合してくれ。終わりの時、そこにいてくれ。
 
姫路へ  2年ぶり2回目。あの夜も良い夜だった。2年分の力の蓄積をたっぷりと味わってくれ。
 
広島へ  通算5回目。いつもの箱で待ち合わせよう。新記録の高さを狙ってるぜ。行くとこ行くぜ。
 
東京へ  リキッドでは2年前の、あの究極のパーティーと同じ顔ぶれ。昼3時から、ノリさんの天国まで。
     ロフト、ツアーセミファイナル。既にサイボーグ化した二人が燃やす、心を見届けに来てくれ。
 
札幌へ  3日はブラフマンとの一本勝負。これ以上デカイ相手はそうはいない。札幌を代表させてもらう。
     30日ベッシーホール、ツアーファイナル。第2期の最後の夜。乗り越えてみんなで乾杯しよう。
 
各会場のみで、今回のツアーT−シャツ限定販売します。2タイプ。街、会場の名前入り。どうぞよろしく。
 
リリースもします。俺等に出来る落とし前は全てつける。12月10日THA BLUE HERBのシングルが出る。
 
タイトル「ROADS OF THE UNDERGROUND/智慧の輪」 どちらもアナログのみ
 
最早「UNDERGROUND」という言葉は、人の解釈の数だけ、地下のクラブの数だけ氾濫し、正確な答えなどは
無い。それについて、他人の信じる「UNDERGROUND」についてあれこれ言うつもりはない。俺はこの3年、
札幌から俺等を呼んでくれたいろんな街でライヴをして、自分たちの信じていることを雑誌やブラウン管越し
ではなく、ステージ上、正面から音と言葉でぶちまけ、理解を求め、多くの理解をもらい、闘いを終えて乾杯
をし、その街の人達とその街ならではの飯を食い、語り合い、翌日別れ、また別の街に行くという生活を続け
てきた。そのツアーの途中にこのリリックを書き上げた。数は増えた。規模もでかくなった。しかし俺等以外
の何か得体の知れない力で、金で、政治でこの動きを産み出し、維持しているという意識は1度も思ったこと
がなかった。まさに"LIVE"のみで証明してきた。入口は何かのインタビューかも知れないが、今ここにいる奴
等全員に自分が何故THA BLUE HERBと呼ばれているか?、何故BOSSと呼ばれているか?を説明してきた。
そこで、底でシンクロできないのなら、分かり合えないのならしょうがないと思ってきた。全てのライヴに悔
いは1つも残してこなかった。いいか?きれいごとじゃねえぞ!失敗も!強がりも!弱さまでも俺はさらけ出
してきたんだ!それが後で直しのできるインタビューとは違うところだ!そうやって広げてきたんだ。その
日、その場所で、底にいた者同士でしかわからない、それ以外誰も知らない場所で、大きな媒介で薄く伝わっ
たTHA BLUE HERBの本質を1から説明してきたんだ。行くも地獄、引くも地獄。まさにこここそ理想。まさ
にこのやり方こそ、この広がりこそ、この支持の開拓こそ、この道こそ我らの「UNDERGROUND」だ!、と強
く確信したんだ。小さな会場をくまなく回ることを諦めず、1から続けることにより、自分たちが知らずに理
想のまっただ中にいたことを知ったんだ。この曲を、その時、その場所にいた全てのオーディエンスに、これ
から訪れる街、その時、その場所にいる全てのオーディエンスに捧げます。強くも、弱くも、良くも悪くも、
現在の俺等の事を知っているのは間違いなくあなた達が最初です。
「智慧の輪」は、そう'98年クラシック「知恵の輪」の発展型。思考、意識、詩世界、ビート、エフェクト....
発展型です。ぎっしり入ったオーディエンスの前で、俺が人差し指を天に突きだしているジャケットです。
12月10日、お楽しみに。
 
 
話題を変えましょう。俺が初めてフランソワ・ケヴォーキアンという人を知って、その人の音を聴いたのは
確か'97年の後半頃でした。まだ移転する前のプレシャスホール。俺にとって人生2回目のその場所でのダン
スでした。そこに入った瞬間の光景は今でも忘れない。NUYORICAN SOULの「I'M THE BLACK GOLD OF
SUN」の4HERO REMIXの後半のドラムが天井を駆け回ってて、それがはっきりと見えました。一瞬で何かが
ここで起こっている、今夜起こる、と感じました。その日は..............本当に色々ありました。今でも憶えてい
ます。長..................................いストーリーでした。終わったのは夕方の4時でした。全てが驚愕の一言に尽き
た。恐ろしい秘密を知ってしまった気分でした。しかし、今もきっとそうなのでしょうが、その時俺は万里の
長城の入口に立っていたに過ぎなかったのです。それ以来、レコードを買えば買うほど、ダンスミュージック
を知れば知るほど、その人はそこに、底に何十年も前から立ち続けていた人だと思い知らされました。名前
や、噂や、過去の伝説ではなく「本当に」凄い人っているんだ、と思い知らされました。HERBEST MOONの
マスタリングをお願いして、受けてくださって、少しの時間を同じスタジオで過ごさせてもらいました。彼は
俺にとって遥か遠い未来そのものです。あまりに遠くて何も見えない、でもそのずーっと向こうにも音楽は
鳴っていて、そこで鳴っている音楽を創っている人です。探求を恐れず、失敗や誤解を恐れず、今もなおその
ずーっと先の、更にずーっと先の音楽を創ろうとしている人です。俺が産まれた時、すでに世界の最前線でミ
キシングボードを操っていた人です。今となってはそのわずかな断片を、本や、その目撃者からしか聞くこと
しか出来ない過去と、現在、そしてまだ誰も見たことがない未来を繋ぐ人なのです。そういう人には、俺のこ
ういう断定的な言い方すらも危うく思えてきます。その人、フランソワ・ケヴォーキアンさんがHERBEST
MOONの曲をREMIXしてくれました!!真っ暗なダンスフロアーで大きな、クリアーな音で感じて欲しい。失
礼、どこでも良いです。とにかく聴いて欲しい。荘厳な音がカーテンの様に降りてきて、10分の、決して足
や車、飛行機では10分では行けない所まで連れて行ってくれます。さあ行きましょう! 
2枚出ます。発売は1枚目が11月第5週目、2枚目が12月第3週目です。
LIFE LINE RECORDSから、世界同時発売です。2枚目のB面には新たに創った「THANK YOU VERY MUCH
MY FRIEND」のDUBも収録しています。
 
10月はずーっとスタジオに入っていました。来年1月に出すTBHR2枚目のレーベルコンピレーションアル
バム「ONLY FOR THE MIND STONE LONG」のレコーディングでした。上記のTHA BLUE HERB、そして勿論
O.N.O、NAOHITO UCHIYAMA、SHUREN THE FIRE、HERBEST MOON、JUN-GOLD、我がTBHR総動員で、
膨大なボツトラック、ボツテイクを越えて一枚のアルバムを創り上げました。全員本当にがんばった。第2期
の総決算には申し分ない素晴らしいアルバムになりましたよ。詳細はまたの機会ここでゆっくり話します。
 
ふー。長々と話させてもらいました。最後まで読んでくれてありがとう。そして時間は待ってはくれない。
さあ!ツアーが始まります!!
 
今月はどっぷりハマるトラックを10枚レコメンド
THE MUSIC GOT ME(INST)/VISUAL 1983(PRELUDE
IT'S O.K.,IT'S O.K./THE FORCE 1986(JES SAY
GET IT OFF/THREE GENERATIONS 1990(ATLANTIC
MYSTERY OF LOVE(INST)/FINGERS INC. (DJ INTERNATIONAL
TONIGHT(DUB)/HANSON&DAVIS 1985(FRESH REC
THE MAGNIFICENT DANCE/THE CLASH 1980(EPIC
VOODOO RAY(PARADISE BALLROOM RMX)/A GUY CALLED GERALD 1988(WARLOCK
DEEP INSIDE(OF YOU)(THE DEEP CREEP)/SHAFTY (HEART BEAT
CHERRY LIPS(INST)/CULTURE BEAT 1989(CBS
STONE FOX CHASE/AREA CODE 605 (CICCO REC
 
でわ また来月 来月は確実に最前線からの手紙になるでしょう。  ILL-B
 
新潟で地震に遭われた方々、心からお見舞い申し上げます。