ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB) MONTHLY REPORT 2009.01

明けましておめでとうです。2009年、始まりました。去年は殆どの時間をライブとその準備に費やしてきた。日本中、どこまで行っても
心を開いて迎えてくれる友人、オーディエンスがいてくれて、マジで感謝です。数えきれない美しい景色を、極上の瞬間を、ダイとステージから
見させてもらいました。野外フェス、異種音楽格闘技戦、真夜中のクラブ、ADFとの対バン、長丁場のツアー・・・。全てのライブ、最後に感謝を
伝えたい気持ちに嘘偽りはなかった。それに尽きる。皆の理解と良心、信頼には本当に助けられ、勇気づけられ、背中を押してもらった。

無論、平坦な道ばかりではなかった。っていうか平坦な道はどこにもなかった。別れもあったし、無傷ではいられなかったけれど、俺等は、俺等が
理想とするライブの完成型が既にイメージ出来ていて、とにかくそれを追求する事に夢中になれた1年だった。煩わせる様々な障壁はあったけど
やりたいことをやりたいようにやってきた。思えばずっと探していたんだ。手に入った瞬間もあったけど、すぐに手からすり抜けていく。その場の
空気、音質、そしてオーディエンスの3つが交わる場所を、現実とはかけ離れた高みに、気付けば持ち上げる事。探していたのはこれだ。俺は、
俺等はね、迷いは全くないんだよね。辿り着きたい所、そこに向かって進むべき道がとっくに見えてるんだよ。他人と比べてどうとかじゃない。
比べられることからは逃れられないけれど、俺等は比べない。意見や好みが違う人達が、この世に、そして音楽が好きな人達の世界にもいる事は
理解してる。違うという事を認めてる。しょうがない事だ。当然の事だ。誰もが同じモノが好きだったら、なんて退屈な世界なんだろうと思う。
だから俺等は一々そのお互いの違いを掘り下げて、どっちが優れているとかを決めようとする事に、限られた時間の多くを使おうとしなかった。

超えるべき壁は唯一自分自身の中にある。1997年、誰も俺等の事を知らない時代から何も変わらない。そう生きてきたし、生きていくんだ。

俺等には、俺等にとっての、THA BLUE HERBにとっての信仰がある。根がちゃんとある。アメリカ人のラッパーがやっている事からは滅多に
影響されない。いつからだろうか?もうずっとだ。だからといって上でも書いてる様にどこが俺が気に喰わないかとかを考えたり、軽はずみに
しゃべってバカにしたりもしねえ。面倒くせえ。そんなことやってても、明日のライブには何の役にも立たん。俺等には(ここで言う俺等とは
THA BLUE HERBとオーディエンスの事なんだけど)もう積み上げてきた長い時間がある。あの拍手、理解、共感を俺はちゃんと憶えている。
これまでやってきた事を、過ごし、見送ってきたあの夜達を、無駄に、台無しにする様な事はできねえ。そこが、そここそが俺等が、THA BLUE
HERBが見つけ、教えられ、大切にしている信仰の部分だ。今年も、例年同様、それをバカにしたり、削ったりしてくる奴等は事実、沢山いた。
スタイルウォーズの名の下、誰も無傷ではいられないのがこの良くも悪くもヒップホップの世界だ。まあ、俺等もかつてそうやって上がってきた。
そんな時、憎しみや怒りや勘ぐりが襲いかかってくる時、そういう時こそ自分等の信仰が問われると思ってる。そこで磨かれる「何か」がある。

「何か」。流れ、消えていってしまったライブの端々に産まれ落ち、そして同じく消えていってしまった「何か」。これを今、DVDに密封して、
作品にする仕事を進めてる。今年の1発目の大型リリース。年末、年始、クリスマス、誕生日、関係なく、森田貴宏が独り、編集してくれている。

何年経とうが「いつだって雑音黙らすには、一つ行動で表す」ステージ最前線、オーディエンスに面と向かって筋を通す。去年もそんな年だった。


12月はライブ5本。秋の長いツアーは、制作も企画も仕切りも全部自分等でやってたんだけど、12月のライブは、各街の友人達に仕切って
もらう夜だった。本来はこういう形態が多いんだけど、久々だったんでね、各街の皆の気遣いに甘えさせてもらいました。お世話になりました。

まずは鳥取。2007年の夏以来の3回目。まず岡山空港に飛んで、そこから車で向かう。遠かったけど、鳥取の友人、COUMOLYとあっくんと
あれこれ話してる時間が楽しかったな。2004年の冬に初めて鳥取に降り立った時の事や、去年の海での一夜とか、俺等と鳥取にも動かせない
歴史が積み重なっている。箱も名前は変わったけど、1回目と同じ場所。そして1回目と同様、寒い。皆に言わせると、毎回、俺等が来るのに
シンクロして鳥取も寒くなってる、と。いいね〜。ばっちりでしょ。飯はやはり蟹。松葉蟹。北海道では毛蟹やたらば蟹が主役なんで、これは
あまり喰えないんだ。こ・れ・が!旨かった!最高でした。ゴチでした。本番は熱い事になった。1年に1度っきりのライブ。俺等の成長を
見せつけねえとやる意味がない。がっちり気合いが入ってた。鳥取のオーディエンスも魂で受け止める。ありがとうございました。終わってからは
結構飲んだね。俺等の後のDJもこれがまた良かったもんで、完全に上がりまくってましたよ。旨い酒だった。翌日は少々二日酔いだったけど、
楽しかったんで全然問題なし。帰りも、漁港寄って、海鮮丼喰って、夕焼けの中をゆっくりドライブしながら神戸空港まで。また遊びましょう。

翌週は千葉、柏。ここは2007年12月以来、ちょうど1年ぶりの上陸。しかもこの日はO.N.Oも一緒でTBH全隊出動!去年の暮れの北見以来の
ブッキング。だから行きから3人体制。羽田から渋滞超えて、目指すはWARTER。PAさんは今年お世話になりっぱなしのサニーさん。ってことは
恐れるものはない。遠慮なくぶちかますだけ。まずは飯。連れてってもらったのはよくある中華料理屋。俺達、西日本最強の店知ってるんだぜ〜、
なんて一口喰ったら・・・。参りました。すんませんでした。何と東日本最強なんじゃねえのって位、旨かったっす。ゴチでした。すっかり満腹、
満足で箱に行くと、オーディエンスの絶叫が響いてる。O.N.Oががっつりアゲてました。とんでもねえ盛り上がり。よっしゃ〜!。O.N.Oの後、
TBH本隊の出番。1曲目から沸騰状態のダンスフロアー。ハンパない夜になったな。柏、いつも間違いないぜ。ありがとうございました。押し
寄せてくるオーディエンスとの濃密な時間。気付けば75分の予定が90分超えてた。ったくマジック起きまくりの夜だったぜ。終わってからは
楽屋にやって来る共演者、友人、そして地元の荒くれ者達と乾杯して、話して、笑って、ワイワイ過ごしてた。皆、良い人達だった。柏、ピース。

翌週は高崎。7月の初上陸以来の2回目。1年に2回も呼んでもらえる事は、デカイ街以外だと滅多にない。しかも今回はKRUSHさんと一緒。
そして7月の夜と同じメンツ、Q-ILLや地元、高崎で音を鳴らしている音楽家との競演だった。新千歳から羽田、そしてJRを乗り継いで新幹線で
高崎、と少々長い道のりだった。会場に着くと、最高の空気で皆が迎えてくれる。俺等も心開いて再会を祝う。いい感じだ。まずは飯。先に
リハを終えていたKRUSHさんと合流。久々、ゆっくり話をさせてもらった。いつも現場で会う事が多いので、お互いやるべき事もある中では
リラックスして話せないんで、俺も聞きたい事たくさんあったし、海外のDJ行脚の話とか、色々と勉強なった。本当に、よくダイと話してっけど、
トップにいる人ってのは1番努力してる。マジで。リスペクト。本番はKRUSHさんの後だったんで、袖でどっぷり聴いてた。ってか効いてた。
で、俺等の出番。沸騰しまくりのオーディエンスにはまたもや上げられました。今年、この街と、この街の仲間と出会えてマジで良かったです。
ありがとうございました。毎年行く事になったんで、皆、また遊びましょう。それまで元気で!終演後は飲んで、語って、極上の時間だった。

翌日は、ダイは前日中野でライブだったO.N.Oと合流して山形へ。俺は単身、中野へ。青葉喰って、ずっとFESNの事務所で森田貴宏監督と二人で
仕事。そうです。AUTUMN BRIGHTNESS TOUR '08のDVD制作です。膨大な映像を整理する作業は、必然的に全てのライブを観る事になる。
もう随分、月日が経ったけど、あの場で言った通り、早くも無数のあの夜達の中に埋没して薄まっていきそうになってしまう時もあるけれども、
確かにあの夜、あのライブはあったんだ。それは間違いない事実だった。森田貴宏のカメラは全てを収めていたよ。発売は春!しばしのお待ちを。

で、札幌帰って、仲間との忘年会を楽しんで、すぐ次の日程がやってきた。クリスマスにライブ、場所は俺の故郷、函館。3時間特急に揺られ、
寝てたら着いた。すぐにダイは音作り。俺は元町を散歩。至る所、かつて通った道や坂があった。気付けばかなり歩き回ってたな。箱に戻ると
ダイがお待ちかね。しっかりリハやって、今夜、共演するMUSTANGと挨拶、すぐ仲良くなり談笑。そして日本のヒップホップ界の最後の秘境、
その名もY TO THE ONEとも再会。開場。時はクリスマス、場所は函館随一のデートスポット。そのど真ん中、最高にドープなパーティーが
始まった。皆、一歩も引かねえで自分等の音を鳴らしてる。俺等もがっつりやらせてもらいました。集まってくれた相当の音楽好き達、君等の
心が静かに燃えてるのを俺は感じていました。ありがとうございました。俺が産まれ育った街で、こうして自分の今信じている音楽を思う存分、
鳴らす事が出来て、マジで光栄に思っています。ライブが終わってからも、話、笑いは尽きねえ。上がりまくってた。結構飲んだな。皆、親切で
良い人ばかりだった。翌日はFEEL RECORDSで久々がっつりレコード聴いて、買って、ほろ酔いで札幌に帰ってきました。最高に楽しかった!

で、2008年ライブ修練の最終章、やはりここで終えます。極北、極寒、その名を北見。ツアーの初日や最終日とか、何かと節目にはここで
ライブ呼んでもらってるな。箱はもちろんHOOPLA、5回目。ちょうど1年ぶり。札幌から特急で4時間半(!)。新幹線でこの時間だったら
一体どこまで行けんの?着く頃にはもう真っ暗。リハやって、飯は絶対ここ。そうです。日本で俺的には1番旨い焼肉屋、特にホルモンが鬼旨の
「ほりぐち」。ここ喰いたくて来てると言ったら言い過ぎかもしれんけど、とにかく旨いんです。札幌にも来年、出店するらしいのです。満腹に
なって宿で休んで、いざ本番。乗り越えてきた数えきれないライブの最後。悔いなく終わらせたいと思っていた。年末らしく箱は、既に熱い事に
なってた。1時間45分、ありったけの言葉を吐かせてもらいました。道東中から集まってくれてたオーディエンス、ありがとうございました。
そしてHOOPLA、6周年おめでとう。7周年もライブ行く事が決まったんで、皆、また遊ぼうぜ。終わってからは、朝11時まで!これまた
信じられない奇跡的アフターアワーズが延々続いてた。あれから24時間経った今、書いてるんだけど、ちょっとあり得ねえくらい楽しすぎた。
2008年の最後を飾るにはばっちりな夜だった。

今年も色んなワクワクを企画中です。皆にも、一人一人、大なり小なり、色々と抱負がある事だと思う。お互いベストを尽くそう。為せば成る!
今年もよろしく。
ILL-B