ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB) MONTHLY REPORT 2009.03

ども。もう3月か。いつになく早いな。2月はあっという間に終わった気がする。連日のDVDの仕込みで、忙しくも充実した日々だった。

まずは礼を。2月発売の冬号で、DJ DYEのミックスCD「SEASONAL BEST」4部作が終了しました。昨年の4月の春号から始めて、
ここまでフォローしてくれた皆さん、マジでありがとうございました。そもそもミックスCD自体を発売するのも、ましてや通販を自分等で
運営するのも初めてのことで、色々学びながら、なんとか4部作発売する事ができた。四季というテーマでDYEも毎回、頭しぼって作品と
向かい合っていました。2000年の暮れにDYEがTHA BLUE HERBのLIVE DJになってから、DYEにのしかかる仕事は増える一方で、
その修練はそのままDYEのDJのスキルに直結していって、今やTHA BLUE HERBのLIVEにはなくてはならない存在になった。LIVE DJと
平行して、CLUB DJの表現もますます広がっていって、「DYEってもしかしてヤバくね?」なんてザワザワと、俺等も含めて札幌の皆が
DYEの凄さに気づいてから、もう何年も経った。普段のLIVE DJではないDJ DYEの表現を知ってもらいたくて始めたこの「SEASONAL
BEST」シリーズもひとまず終了です。普段からDYEは札幌で、あとたまに札幌以外でプレイしてるので、お近くの人は是非聴いてみなよ。

さあ迫ってきました。THA BLUE HERB名義では「演舞」、「THAT'S THE WAY HOPE GOES」以来となる映像作品が発売間近です。
タイトルは「STRAIGHT DAYS/AUTUMN BRIGHTNESS TOUR '08」。120分超え×2枚組。監督は盟友、中野レペゼン、森田貴宏。

昨年、制作をサポートしてくれた所がなくなったり、流通が変わったりと色んな変化があって、それは周りから見れば逆風なのかもしれない
けど、とにかく、そういう現状だからといって止まってるワケにもいかねえしって感じで、あれこれ自分等でレーベルを回す仕組みを再構築
してきた。前述の通販のシステムもそういった流れの中でのチャレンジだったし、まあ送料が高いとか、ぼったくってるとかメール来るけど
送料と手数料は俺等じゃなくて全て運送会社に流れていくんだからね。通販っていうシステム自体に必要なお金なんだ。そこは誤解しない
でくれよ。ま、まだまだ改善する点は多い事は確かだな。そして昨年11月の初のオフィシャルリリースとなったO.N.Oのソロアルバムの
プロジェクトでもマジで多くを学ぶ事が出来た。ある意味、TBHRにとっても、別に望んでたワケではないけれど、音楽業界の再編っていう
大きな流れに計らずとも巻き込まれ、生き残るために気づけば新たな段階に突入してたって感じだ。ま、あーいかわらず携帯持ってないし、
誰かを新たに雇ったってワケでもないし、今まで一緒に仕事をしてきた超凄腕の仲間がいなくなって、文字通り手探りでここまで来たって
感じっす。レーベルの持つ能力的にみれば、それもこれも、これまでの実験はこのリリースのためであると言える。再構築後、初となる
オフィシャル大型リリース。そうです、それがこのDVDなのです。去年の今頃の初歩的な状況から考えたら相当無謀な試みかもな。うん。

とにかくがむしゃらに走ってきた。森田監督もこれ以上無い極限までアイディアと経験値を絞り切った。デザイン主任も、連日連夜に及ぶ
仕事を乗り越えた。そして、制作開始から2ヶ月半、列島のアンダーグラウンドを舞台にした、完全実話の一大長編が遂に完成しました。

発売は3月25日。

構成については先月ここで話した通りです。仙台から東京までの計17カ所でのTHA BLUE HERBの軌跡に密着した内容になっています。

なので、今月は東京での仕事の毎日。前半は恵比寿で制作、流通、宣伝の打ち合わせ、後半は各雑誌や各ウェブサイト上のインタビューを
受けたりしてた。空いた時間を使いレコ屋や服屋、クラブを回ってポスターとフライヤーをまいて、残った時間は森田監督を訪ねて行った。
俺自身、こんなに中野の駅で降りた事は今までなかったと改めて思うくらい、森田監督がディスプレイに向かい合っているFESNスタジオに
通いつめた。時に意見をぶつけ合い、ディスカッションし、試し、戻り、進み、そしてゲラゲラ笑いながら過ごしているうちに、森田監督の
手によって、あの去年の秋の日々が、数えきれないエピソードが、順番に整理され、結びつけられ、そして意味深く編集され、物語になって
いく過程を真横で見せてもらってました。森田監督の尽力にはマジで頭が下がる。はっきり言ってここまでの領域にまで仕上げてくるとは
思っていなかった。森ちゃんに頼んで良かったと心から思う。加えて流通や宣伝を担ってくれているチームメイトもベストの仕事だった。

制作が一段落すると、そのまま単身、名古屋へ行って、ポスターとフライヤーをまいてきた。久々の名古屋。いつもはライブで行ってるので
宿と箱の往復くらいしか時間がないのだが、名古屋の親愛なる友人に道案内してもらいながら(感謝)、街の中心部を歩き回った。名古屋、
街、デカイな。半日では足りなかったな。皆、暖かく迎えてくれた。そしてお楽しみのひつまぶし食って、夜、そのまま京都へ。そして夜の
京都、同じく京都の親愛なる友人の案内を得て(感謝)、京都のクラブにポスター、フライヤーまいて回って、翌日は取材、そして昼間の
京都を回ってきた。関空発の最終便、同じく福岡、広島、神戸、大阪とポスター、フライヤーまきを完走したDYEと待ち合わせ札幌に着陸。

販売にあたって、色々と仕込んでます。それぞれが好きな選択をしてください。ちょっとややこしいです。すんません。まず3月18日に、
当ウェブのオンラインショップで先行発売します。これには本編に収録出来なかった映像が付きます。そのディスクは製品と一緒に、不織布
ケースに入って届きます。実際の製品は2枚組ですが、ここで買ったやつにだけ、製品の中に、もう1枚用のディスクトレイが付いてます。
そこに送られてきたディスクを入れられる仕組みになっています。つまり3枚組に出来るって事です。伝わってるかな?これは用意している
数がなくなり次第終了します。そして3月25日。TBHRから直接卸しているお店では、上記の通販で買えるのと同じ3枚組仕様の製品が
発売になります。これは注文自体、多くはないです。あとタワーレコードやHMVなどの大型店の一部、ここでは先着でTHA BLUE HERBの
LIVE CDが付きます。その内容は、去年の12月12日、千葉、柏のWARTERでのライブ音源です。これにはライブの全ての時間が入って
いるわけではありません。長くはないです。ご注意を。そしてHMVのみの特典で、DVDのジャケットやTBHRのロゴの携帯待ち受け画面が
もらえます。もらえます?何だ、日本語変か?待ち受けFLASH画像ってやつがもらえます。とにかく携帯の画面に色々な画を入れられるよう
な、何かを、HMVで、もらえて、携帯の画面にロゴとか入れられる的な、みたいな。だめだ。詳しくは最寄りのHMVに聞いてください。
すんません。あと、これは我等が愛する地元限定ってことで札幌圏のタワーレコード、HMV、そして道内の玉光堂の一部店舗、COACH &
FOURの一部店舗、更に東京のアンダーグラウンドシーンに敬意を表してWENODにて、初回をお買い上げいただいた方、全員に、特製の
ポスター付けます!って感じです。今回から新たな流通先との仕事ってことで色々ノリでやってみました。よろしく。

今は札幌、出来上がった作品を観ながら、魅入ったり、笑ったり、思い出したり、感謝したり......。この作品はさ、もうね、これはあの秋、
ツアーの時からよく森ちゃんとも話していたんだけどさ、主演はTHA BLUE HERBともう片方いるんだよ。2つで1つなんだ。そのもう
片方とは、そう、決まってる。オーディエンスなんだ。そして、そこに、底にいたTHA BLUE HERBとオーディエンスの、ちょうど間に
あった、「共感」ってやつが大きな主題になっている。俺はそのツアーの当事者の1人だし、映像も監督の次に観てるけど、マジでそうと
しか言いようがない。はっきり言って最先端の音楽やってるわけじゃない。流行の類いでもない。解りやすい、ナンパついでに聴けるような
音楽でもない。ここで言う「共感」とは、もう今の世の中だったら、存在すらも珍しがられるようなものだ。その透明な「共感」が実在
するってことすら疑われてるかもしれない。冷笑的で、皮肉っぽく、便利なもの、早いもの、簡単なものだけを追い求めてる人から見れば、
バカバカしいほど面倒くさい代物かもしれない。だがまだこの国は腐り切っちゃいねえ。俺は実際にそれを目撃してきた。それも日本中で。
数こそ多くはないが、そのTHA BLUE HERBの音楽から得る「共感」を求めて、人々が、そこに、底に来るんだ。いつの間にかそうなって
いた。そういう人が多く集まるようになっていった。魂と魂の会話だ。そして俺等も次第にそれを求めるようになっていった。俺等が1番
ヤバいって事を教え込んでやるためだけに音楽を鳴らしていた俺等が、いつの間にかそうなっていた。「共感」以外に求めるものはない。
今、そう言える。男も女も、老いも若きも、独りも、恋人達も、友達も、ヒップホップが好きな人もそれ以外の人も、その日仕事だった人も
仕事してない人も、諸々の............な人もそうじゃない人も、とにかくみーんなそれを「共感」を求めてそこに、底に、わざわざ大切な時間を
割いて、大切な金を支払って来てる。しかも、だ。ただ来たからって1曲目から安易に手に入るものじゃない。それはひどく残念なことだが
手に入らない時すらある。そういうモノだ。大切にゆっくり育て、見守り、許容し、求め、そして想いを貯めて、貯めて、貯めたその先に、
歓喜にも似たあの瞬間がある。それが、ちゃんと映ってた。送り手と受け手が、共に、同じ感覚を共有し、互い喜んでいる画が映っていた。

もうここまでさ、THA BLUE HERBの看板を背負って12年経ったけどさ、数えきれないくらいライブやってきたけどさ、ほんっとにね、
色々あったけどね、もちろん俺等の行動の全てが正しかったとは言わないしさ、事実多くの誤りも引き連れてるし、多くの分かれ道に立ち、
多くの人達と別れてきたしね、何せ賛否両論のど真ん中を走って来たからね、そりゃあ誤解もされたし、無数に馬鹿にもされたけれども、
憎まれもしたけれども、常に寂しさを傍らに抱いてきた旅だったけれども、けれどもだ!けれどもこれだけははっきり言える。あの映像に
映っている全ては真実だ。映像は嘘をつかない。嘘すら隠せない。森田貴宏のカメラには小細工は通用しねえ。それはどうとでも解釈できる
曖昧なイメージなんかじゃない。はっきりしてる。一目瞭然、あれが俺等そのもの。あれが俺等と、俺等が信じているオーディエンスだ。
あれが俺等が過ごしてきた栄光の過去であり、俺等が信じてる輝ける未来だ。それが好きか、嫌いか、思った通りか、そうじゃなかったか、
らしいか、らしくないか、正しいか、間違ってるか、変わったか、変わっていないか、とかじゃなくて、あれが俺等、ありのままの俺等。

ま、楽しんで欲しい、シンプルにそう思います。監督もそう思っているはずだ。何せ、俺等自身が楽しんでいる。皆、楽しんでください。

明日は今年初のライブ!旭川に行くぜ。レポートは来月載せます。

健康で。
ILL-B