ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB) MONTHLY REPORT 2009.04

はい4月。まだこっちは寒い。なんと先週、雪降った。桜、咲いてるんでしょ?こっちは桜はあと1ヶ月後です。もう花見とかしてんの?

まずは礼を。先月18日にウェブ通販で、そして25日に全国のお店でDVD「STRAIGHT DAYS/AUTUMN BRIGHTNESS TOUR '08」を
無事に発売する事ができました。シスコ撤退後初、そして再構築後のウルトラ・ヴァイヴとの連携後初の大型リリースって事で、色んな
プレッシャーの中での仕事でした。ウルトラ・ヴァイヴの皆も短い期間ながらベストの仕事でした。そして各地、実際にお客に商品を届けて
くれる各店のバイヤーさん達の熱意にも助けられた。ありがとうございました。皆の気持ちに応え続けるためにも、努力を続けていきます。

発売に合わせて色んなメディアからのインタビューを受けました。今はインターネット上のメディアも随分増えて、時代の移り変わりを感じ
てました。しかし!いくら媒体の形態は変わったとしても、質問と答えを交換していたのは紛れもなく人間同士でした。実際に俺も札幌から
体を運び、面と向かい合って色々な畑の人と話をさせてもらった。昔からもう何年もインタビューをしてもらってる人、昔は同じチームで
一緒に闘っていた人、新たな世代を代表して来た人、ずっとお互い知っていて遂に出会った人、十人十色の質問で、俺の心を覗き、こじ開け
話させようとしてくる。そして気付けば、インタビュアーのテクニックにまんまとハマって、熱くなって、夢中になってあれこれ話している
自分がいる。あれ?俺、今随分話しちゃってる?って時。そういう時は最高。今回も少なからずあった。ただ、これだけははっきりしてる。
インタビュアーが誰であれ、どんな媒体であれ、専門の音楽ジャンルは何であれ、やる気のないヤツであれ(今回は1人もいなかったよ)、
ムカつく質問であれ、俺は1つ1つを真剣に考え、答え、話す。誰に向かって?他でもない君に、だ。その時、俺は、実際に目の前にいる
インタビュアーを向いてはいるけれど、本当はその人の背後にいる、たくさんいる、読み手、つまり君を見ている。君に向かって話してる。
各誌、各メディアからの編集、撮影、そしてインタビュアーの皆、今回も楽しかったです。また会えるように俺等も努力を続けていきます。

そして買ってくれた皆、マジでありがとうございました。楽しんでください。

スペースシャワーTVで今回のDVD発売の特番を作ってもらいました。第1回目は携帯の一斉送信で告知した通り3月31日でしたが、あと
2回リピート放送があります。以下です。4月8日(水)25:00〜25:30と4月12日(日)26:30〜27:00です。それと
同じくスペースシャワーTVのBLACK FILEという番組の中で、先日行われた埼玉、浦和でのライブの模様をオンエアします。長くないです。
でもクラブならではの熱い画になってます。放送日は、4月2日(木)21:00〜22:00、4月5日(日)25:00〜26:00。
お楽しみに。

ライブレポートは2カ所から。まずは2月末、厳寒、氷点下、吹雪の旭川に行ってきました。札幌からは電車で1時間半の近さなんだけど、
実はライブは4年半ぶり。2008年の最後は北見で、2009年1発目も同じく北海道。ばっちり。箱もでかくて、音も良く、何よりも
地元の音楽家の迎える気持ちが温かく、リハの間も終始リラックスさせてもらってました。しかし本番はがっつりぶつかっていった。今年
1発目ってこともあったし、4年半ぶりってこともあって、今の俺等のメッセージ、音と言葉を感じてもらいたかった。気付けば1時間半。
皆に熱く上げてもらって、最後まで辿り着く事ができました。ありがとうございました。終演後は、その夜、なんと別の箱にDJで来ていた
CALMさんを訪ねていって、そこでも良い音楽、旨い酒をたっぷりゴチになり、朝方、かなーり酔っぱらった状態で札幌に帰ってきました。

翌週は初上陸、埼玉、浦和。箱はCLUB BASE。何と15周年!永い。THA BLUE HERBが産まれる前から音を出していたんだな。すげえ。
共演にはたくさんの地元のMCの名が。リハの段階から何気に緊張感があって、これもまた好きな雰囲気。俺も皆と同じく静かに燃えてた。
飯は韓国料理。日本中、いや世界中どこ行っても旨い。ここもやはり旨かった。この日は箱的にアニバーサリーってこともあって、普段では
ありえない数の問い合わせがあって、お客パンパンになるらしく、しっかりスタミナつける。で、深夜、乗り込んだステージ最前線。もうね
3秒でわかったね。こりゃ大変なライブになるってね。押し寄せる荒ぶりまくったオーディエンス。OK、余裕。俺等もこういう夜のために
鍛えてきたんだ。そっからの1時間半。修羅場だったな。皆もよく最後までついてきてくれた。最高楽しかった。ありがとうございました。


で、今はまた、ダイと練習してます。4月から始まる2009年ライブシーズン。7月までは入れてます。詳しくはライブスケジュールへ。


で、今月は最後にこのインフォメーションを。

今年も5月2日がやってきます。5月2日とは?そう、俺等THA BLUE HERBが初めて北海道以外でライブをやった日です。時は1999年
5月2日。場所は東京、六本木コア。凍てついた札幌の、ススキノの人知れぬ地下1階で、仲間と1本のマイクを分け合いながら、ずーっと
自分等の信じるHIP HOPを模索し、醸造し、レーベルを立ち上げ、実際にレコードを創り、そのレコードが少しづつ、ゆっくりと、日本中に
旅立って行っていたちょうどその頃。心の中は、夢や希望に満ちてはいたが、実際、逃れられない現実の世界、部屋には売れ残って行き先の
ないレコードが山積みになっていて、自転車操業からの借金が目一杯膨らんでいて、焦りを募らせながら、職無し、文無しな上に、空腹で、
世紀末、人生の崖っぷちぎりっぎりの状態で、俺とO.N.Oは東京にやってきたんだ。もう他に行く場所がないかのごとく。その日の直前の
俺等の生活、心情は「未来は俺等の手の中」に書かれている。そしてその日、コアでの俺等の態度、姿勢はビデオ「演武」に映っている。

その、たった1晩で、全てが変わったとは言わない。そんな簡単じゃなかった。それからも東京で、そして日本中で絶対に落とせないヤマは
次々やってきた。何せ先輩も前例もない道だ。次は絶対にない1度限りのチャンスの連続だ。もうあのどん底の生活には戻りたくないから、
出されたモノはなりふり構わず喰ってきた。それが仮に毒だとしても一息に飲み込んできた。無論、この10年を通して、無傷ではいられな
かったし、人を傷つけもした。多くの人に受け入れられもしたし、認められもしたけれど、憎まれもした。出会いも別れも、今生の別れも
あった。まさに生と死のド真ん中の1本道、色んな事が起こっては過ぎ去り、それを繰り返しながら、夜が、10年分降り積もっていった。

その日からちょうど10年、2009年。同じ5月2日にリキッドルームを借りました。

10年前のその日、DJだったO.N.OもソロでMACHINE LIVEをします。そして無論、俺も、ここまでの長い道の途中、この札幌の1個小隊に
加わったDJ DYEと共にLIVEをします。ビデオ「演武」のパッケージに載っている1999年のその日のセットリストを見ると、改めてこの
10年という時間の長さを実感する。あれから世界はどんどん広がっていった。たくさんの街を訪れ、そこで多くの友人に出会った。そこで
俺は知った。日本中、どこに行っても、同じ価値観で、同じ目線で話し、笑いあえる、愛すべき人がいるってことを。俺は教えてもらった。
もしもあの日がなかったら、あの日を落としていたら、そしてあのままずっと札幌にいたら、それはそれで、また違った人生が待っていた
だろうし、俺は楽天家だから、その人生を楽しんでいたとは思うけれど、今日、確かに毎日忙しく、責任も増えたし、嫌な思いをすることも
あるし、ま、それはどこに行っても、何をやってても、皆、一緒だよな。とにかく、今、改めてこう思う。

未来は思ってたよりもずっと広かった。

10年前のその日、そこに、底にいた、恐らく250人にも満たなかったであろう、1番最初に、俺等を信じて集まってくれていた友人達
に、このインフォメーションが届く事を祈っています。そしてその日と等しい価値を今も持つ、その日からの数えきれない1日、1日、共に
同じ時間と空間を分け合ってきた友人達にも。そして来たる新たな5月2日からの友人達にも。ただ、お手手繋いで仲良く祝おうってんじゃ
ねえよ。今から10年前のその日、あれからずっと鍛え続けてきたTHA BLUE HERBのライブをしっかり俺等はやるだけだ。終わってからは
NORIさんが同じリキッドルームの深夜の部で朝までがっちり回してくれるんで、その時はリラックスして遊びたいな。遊ぶために頑張る。
共に爆音と静寂の狭間で遊ぼうぜ!

そしてさっきから話している、10年前の俺等の、まだまだ若く、無骨で、荒削りな俺等の、俺等の器、ギリギリ一杯まで溜まりまくった、
怒りとやるせなさ、欲望や焦り、鬱憤を全てぶちまけた、北海道以外での最初のライブを収めたTHA BLUE HERBにとっての最初の映像作品
ビデオ「演武」を、DVDにして再発売します。それをある意味THA BLUE HERBにとっての独立記念日、5月2日当日、リキッドルームで
先行発売します。ウェブ通販、店頭発売のスケジュールは来月詳しく。

あと今、その日に発売したくて新曲も創ってます。

健康で。
ILL-B