ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB) MONTHLY REPORT 2010.11

11月。札幌は既に寒いっす。短い秋が足早に去ってく。冬将軍のお出まし。皆、タイヤ交換やストーブ設置、冬物アウター準備に動いてる。
10月2日の北見でのPHASE 3.9ツアー最後のライブを終え、気持ちも少しずつ着陸してきました。って言っても、北見から帰ってからは
ツアーの後始末や精算やって、で、いきなりすぐにハワイに行ってきました。初ハワイ。やはり最高でした。5泊6日の過密スケジュールだっ
たけど、これで結構疲れも、あとずっと一緒にいたショウビズに伴う緊張感も抜けてったね。何せ先週までのステージを巡る生活からの変化が
激しくて、良いリセットになりました。良い空気だったな。またゆっくり行きたい。

PHASE 3.9ツアーは終わりましたが、PHASE 3はここの更新も含めて、あと少し続きます。今は年明けに続くリリースに向けての仕事です。
それを終えて、晴れてO.N.Oのトラックと向き合う生活が始まる。O.N.Oはもう結構前から始動してて、少し聴かせてもらったけど皆ビックリ
するぞおおってトラックが産まれてきてる。凄いんだよ、これが。なので早く制作に専念する生活に向かいたいんだけど、その前にばっちり
PHASE 3を終わらせるぜ。リリースに関してはここで追って随時発表していきます。お楽しみに。

久々週末も札幌にいれる毎日が続いていた。なので色々顔出してました。UMBの札幌予選にも行った。ほんとは太華に会いに行ったんだけど
マスターやライブラの皆もいて、そのまま少しだけど観させてもらった。いやあ色々考えたよ。1997年とは違って、今はこういう1つの
のし上がれる道があるんだね。無論、そこで最強になっても、道は長く、音楽で人に特別な何かを伝えるには目の前の人間に勝つってだけでは
どうにもならない領域ってのが広くあるんだけど、そうは言っても世の中を自分に振り向かせる事が必要な段階のMCにとっては絶好の場だな。
しかも皆、半端なく上手かったよ。ただ悪口言い合ってるわけでもなく、ユーモアやクレバーな駆け引きが垣間見える瞬間も多々あった。俺は
途中で予定があったから帰ったんだけど、その後、DYEとJOEも審査員やったとか。俺も最後まで観てたかった。勝者も敗者も、皆に敬意を。

TURN ON THE SUNLIGHTのライブも良かった。しかもその日はB.I.G. JOEもアコースティックセットでライブするって聞いて、行ったんだ
けど、楽屋でJOEとかと一緒にフリースタイルして遊んで、しかもそれが半端なく、最高テンション上がってね、ちょっと酒取りに行くわって
フロアー行ったらTURN ON THE SUNLIGHTが誰か上がって来いって行ってて、気づけばJOEと上がってセッションしてたね。楽しかった。
何もその人達の事知らなかったけど、ドラムが鳴ればリズムが産まれ、鍵盤,ギターが上に乗ってけばすぐにラップが始まるね。極上だった。
その後のJOEのライブも凄かった。素晴らしかったぜ。あんなの聴かされたら上がっちゃうよね。で、気づけばまたステージに上がってた!
で、またセッション。昔はいっつもこんな感じで遊んでた。お客もみんな笑顔でさ、ユナイトできてきてる。雨降って地固まりまくってるぜ。


出張も行きました。まずは東京。リキッドルームへ。実はこの日は私、SEEDAのリリースパーティーにシークレットで出演だったのです。久々
会ったSEEDA。思えば2007年春、「LIFE STORY」のインストアライブで渋谷タワーの地下1階にいた俺を訪ねてきたのがSEEDA。それ
からの活躍、上がりっぷり、作品の数と質、マジで一気に駆け抜けてった。もう原石などではない、完全に完成されたラッパーだ。2008年
のO-EAST以来のセッション。楽しみにしてた。と同時に気合いも入りまくってた。1つ向こう側の世代のお客が沢山いるだろう。2つ向こう側
もいるよな。彼等に何を残せるのか、一昨日39歳になりたての俺が!わはは。頑張るぞお!リハの段階で、同じく客演するサイプレス上野、
そしてRAU DEFと邂逅。DJ ISSOともゆっくり話せた。そして今日の主役SEEDA。緊張感があったな。大一番。俺も力になるぜ。開場後も
続々いろんなMC、関係者が集まってくる。BAY4Kとも一瞬で邂逅。で、ライブ開始。SEEDAもDJ TY-KOHもそしてお客もテンション高い!
勢いあったな。客演陣もいい仕事してた。そしてアンコール後、あのSEが。「俺を誰だと思ってる。お前が中学生の時からこの稼業なんだ。」
で、俺、「何言ってんだ。・・・。パーティーを続けようぜええ。」で登場。「MIC STORY」「WISDOM」を連続してキック。上がったね。
一瞬だったけど沸点超えたよ。で、全て終わった後、アンコールを求めるお客にSEEDAがフリースタイル。で、ステージ袖では客演陣が俺も
俺もって感じになって、そこ出し抜いて1番目で出てった(笑)。続いてサイプレス上野、その後も来るわ来るわ。袖から、客席から、MCが
入ってきて、皆で1回ずつマイク回して、SEEDAが締め。盛り上がったね〜。良いライブだったよ。SEEDA、マジでお疲れさん。終わっても
皆、上がっちゃってて、乾杯が止まらんかったね。楽屋はいい雰囲気で満ちていた。皆笑ってた。そんな場にいれて俺も至福だった。何つーか
皆、若く、俺とは世代も違うし、住んでる街も違うし、きっと突き詰めていけば考えてる事も違うと思うけど、ここでも雨降って地固まって、
前のリキッドのドリームマッチ同様、終わった後で、しかも楽屋で、その違いをあえてガタガタ言うヤツはいない。無論、競争はある。誰も
諦めていない。皆、てめえが1番のMCだと思っている。でもその日はSEEDAのおかげで、皆、心開いてて、普通に友達だった。楽しかった。
それぞれの中、リキッド出たら、やらなきゃならん事もあって、悔しさもあったりするだろう。もう皆バラバラになった。MIC STORYは続く。

結局SEEDA、BAY4K、S.L.A.C.K.、RAU DEF、スタッフさん達と、飲んで、話して、笑って、で、帰った。SEEDA、良い時間をありがとう。


翌日、沖縄へ飛ぶ。今年3回目の沖縄。舞台はPEACE MUSIC FESTA 2010。あの曲をやるためにやって来た。面と向かって鳴らす日が来た。
あの曲を創ったことで沖縄との繋がりはより強くなった。そう今回はTHA BLUE HERBとしてではなくて、B.I.G. JOEとOLIVE OIL、そして
DJ DYEと俺で「MISSION POSSIBLE」というグループでのライブだ。場所はこの国の、この時代、数少ない最前線である沖縄、辺野古。
今が善と悪、暴力と非暴力、戦争と平和、簡単に2つで割り切れる事ができない世の中だってのは解ってる。内憂、外憂、様々な問題が時に
理不尽さを伴ってこの国に押し寄せてきている。大変な時代が来るのかもって皆が感じ始めている。これまで防衛費そっちのけでアメリカが
守ってくれるって信じて、散々繁栄を享受してきた以上は来るかもね。そんな歴史上1つの大きな転換点にきている日本、唯一の地上戦が
ほんの65年前に起こってしまった島、沖縄に俺等は歌いにやって来た。そう、時代の向かい風の中、オバマ大統領も向かい風、タリバンに
追い風の地球、出来る事ならまだある。そう歌いに来たんだ。辺野古には朝に到着。今回のイベントを立ち上げ、動かし、仕切ってくれていた
竜海と久々の対面。色々世話してくれたキムとも。この2人とは「MISSION POSSIBLE」のPV撮影の時、全て終えてフレックスでジャーク
チキンを食べながら色々懇談した仲。あの時点でこのプロジェクトの意味を十分に理解してくれていた2人だ。事実今回の参加はその時に既に
誘われていた。この流れは必然だった。JOEと一緒に来ていたギターのコウダイとも合流。まずはリハ。完了。大丈夫。で、そば喰って宿へ。
そこでJOEとも合流。それから本番までは各自のんびり過ごした。しかし迫ってくるのが時間ってやつ。徐々に緊張感と高揚感が皆に漂う。
皆で念入りに流れを確認。イメージでは完璧だ。後はあの場、そうアメリカとの国境、辺野古の皆に想いが伝わると信じて前に出て行くだけ。

会場入り。OLIVE OIL、POPY OIL、OILWORKSクルーと合流、使命を果たす時間は刻々と近づいてくる。ステージは無人。お客が集まる。
さあ始めよう。まずはOLIVE OILのDJ。初っ端から「独りじゃない!」アカペラから「MISSION POSSIBLE」インスト。爆音が響いていた。
最初の歓声が上がる。そしてコウダイがギターを鳴らし、B.I.G. JOEの登場。先日の札幌でのライブでもかなりやられた「D.D.D.」から始め
「HERE I AM/WHERE YOU AT?」まで4曲キック。感慨深さに浸るのはまだ先。終わってからだ。JOEが俺とDYEを呼ぶ。お客も呼んでる。
「時は来たぜ。皆集まれ!」で、遂に始まった。始まっちまった。「MISSION POSSIBLE」。ステージ正面は辺野古の海。左には米軍の陣地。
隔てる針金のフェンス。ほんの4分半のために、これまでの膨大な時間があった。ゴールデンウィーク、あの天神で目の前からJOEが歩いて
きて、そのまま屋台行って、乾杯して。そこからBASEのカウンターでOLIVE達を交え、思いがけず話は加速し、全ては始まったんだ。期間に
して約5ヶ月。一気にここ辺野古まで走ってきた。左側を向き、右手を無言で2人で掲げた。波の音と三線の音が聴こえた。ミッション完了!

そこからもう1つのミッションを終わらせる20分。THA BLUE HERB、PHASE 3最後の最後のライブ。ステージでOLIVEとJOEと別れて、
いつものDYEと2人に戻る。ずっと2人で走ってきた。言葉に尽くせない数の場面場面があった。それも終わる。終わらせるために始めよう。
「ILL-BEATNIK」「BROTHER」「THE WAY HOPE GOES」「未来は俺等の手の中」。PHASE 3、THA BLUE HERBのライブも全て完了!

最後は皆で、JOE、OLIVE、POPY、コウダイ、DYEと俺の皆で、ステージに並んで辺野古の海、米軍陣地、お客に挨拶。で、舞台を降りる。

一夜明けて、あの透明な音楽が作用して、目に映る形で何かが変わったってことはないと思う。けれど、俺等はやったぜ。使命はやり遂げた。

七尾旅人を聴きながら、波打ち際でしばらく1人で座ってた。これまでの道のりを少しだけ振り返っていた。今思えば究極良い時間だったな。
飲んでたコロナがなくなったんで次の酒をもらいに会場に戻る。泡盛に持ち替え、友達から友達へと渡り歩く。お!PV撮影でお世話になった
リチャードさん、ヨコザワ君、バイト、ケイスケだ。皆、笑顔。最高すぎる仲間だ。三宅洋平も見つけた!わはは!話し込む。最高すぎる時。

そして、ステージには、ソウルフラワーユニオン。

遂に出た。偉大なる兄貴、姉貴。このために全てはあったっていう特別な雰囲気が満ちていた。俺にも解った。彼等、彼女等を皆待っていた。
いつかのライブ、無論それがいつ、どこだったかは一生忘れるわけないが、あえてここでは言わない。とにかく、俺は1度、自分の出番の前に
この怪物バンド、ソウルフラワーユニオンをがっつり観てしまい、そのあまりの衝撃にやられまくってしまい、本番直前だってのにわざわざ、
よせばいいのに、自分の無力さに立ち返ってしまい、ライブはやるにはやったが、お客とも良いエンディングを迎えるには迎えたが、俺自身は
そのショックが強くて、あのバンドの凄さにしばらくの間、立ち直れなかったことがあった。それくらいの、何つーか、MOST WANTEDな
バンドっす。同じ衝撃を受けたバンドはこの国にはもう1ついる。そう、言わずと知れたタートルアイランドだ。今回は(幸運にも)俺等が
先にヤマを乗り越えていた。あの人達に比べると、まだまだ若い小さな達成感と、極上の酔いの中、観させていただいた。そして今夜もやはり
素晴らしかった。嘘みたいな、嘘じゃねえか。嘘じゃねえが、それは夢みたいな光景だったね。沖縄の皆とリンクすると何百倍も、あの旋律や
歌詞、リズムが躍動するね。そんな気はしてたけど、ったく半端じゃなかった。そして!俺も!解りきってる自分の無力さなんかにくよくよ
しちゃいなかった。あの場、辺野古で、ソウルフラワーユニオン聴いて、くよくよなんてしねえよ!汗と涙で、全快で楽しんだ。ひゃっほ〜!

その後の沖縄伝統舞踊、そしてトリのカチンバ(!!!)。最高のパーティーだった。参加できたこと、本当に誇りに思う。ここにいれたこと
ここで自分等の音楽鳴らせれたこと、来て良かった。皆、自分で来た。全くお金を挟まずに、想いだけで来た。こんな集まりがあったんだ。

スタッフの皆さん、ご苦労様でした。そして、ありがとうございました。

俺等の音楽を聴いてくれてありがとうございました。


TOUR REPORTでリキッドと沖縄の写真あります。

皆、龍馬伝って観てる?俺はこれまで1度も観てないんだけど、最後の龍馬を斬る役、誰か知ってる?偶然、ちょうど辺野古の帰りの車内で
達也さんと電話で話した。これには驚いたね。熱い。俺もその回は観る!



健康で。

ILL-B