ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB) MONTHLY REPORT 2012.10

10月。

時間が経つのはほんと早い。こちとらアルバム制作やらリリースやらライブやらあれこれやってたら、もう10月。そんな感じで万事が過ぎていくんだな。
皆、濃密な時を生きてる?

「TOTAL」3枚組アナログ、遂にというかやっとというか、こっちはOK出ました。お待ちいただいてる皆、すみませんでした。もうすぐリリースです。

AIR JAM、BSスカパー!で放送されます。10月7日。23時から。俺等のライブからは、今回は前半部分から2曲です。あの部分は11月の放送で。


9月もいつものようにライブ三昧。最近ある街で「5年前に観て以来、久々に観たけど5年前の方が良かった」ってある人に言われて、こっち的には持てる
力を出し切っただけにね、残念だったけど、だからといって同感してないし、謝る気もないし、何と答えていいか分からずって瞬間があってね。せっかく
足を運んでくれたお客だからね、俺等の力不足が招いた言葉なんだろうけどね、こっちは構ってられないんだよ。でもこっちがどう思ってるのかを知って
もらいたく、こうして書かせていただきます。その人の言う良かったという5年前も、昔の方が良かったって言ってた人がいたわけで。常にいるわけで。
恐らくこれは作品に対してもいるわけで。でもね、こっち的にはライブも作品も、昔と今でどっちが良かったって気にした事は1度もない。意外かな?
だってそんな事ウダウダやってても意味ないから。作品に関してはどこにも後悔とかは残してきてないけど、ライブに関しては、無論全て至上だったとは
言わないよ。が故のライブ。だから面白いのにな。ま、そう思ってる人がいたとしても、その人が思うのも思われるのも俺は止めはしない。っていうか
それは止められはしないよ。それも料金に入ってるようなもんだ。でも、構っちゃいない。全員の賛同をもらえると思ってはいない。皆、それぞれの時を
生きている。コンディションも趣向も性格も感じ方もそれぞれ。それがその人のどうしても言わなくてはならない事なら、そのまま好きな事を言って、
やって、生きていくべきだ。むしろその人の大切な人生の瞬間を俺等ごときの時間の経過に伴う優劣の対比に割いてもらって光栄だ。でも、悪いけどさ、
構っちゃいない。他に音楽は沢山ある。時間を無駄にせずに旅立ち、探しに行きなよ。で、10年前も5年前も今月も、俺は俺でどうしても言わなくては
ならないと今も思う事があって、おかげさんでそれを言える場所を得て、今もありがたい事に生業として成立させながら、俺の今しかない今を一生懸命に
生きている。俺は全員と辿り着きたいと思ってはいる。いつも、毎回、思ってはいる。そして同時にそれはとても難しい事だと知ってもいる。与えられた
限られた時間、限られた環境で、あの高みに辿り着けるかは俺等とお客、両方の想いがシンクロした時のみだ。どちらか一方じゃダメだ。感動の結末が
保証されてるワケもない。だから面白い。だからこそ、辿り着けた時の、あの、輝きに満ちた瞬間が、見ず知らずのその夜限りの集まりの共感の爆発が
最高なんだよ!今夜もどこかの街で、DYEと控え室で、地元の音楽家を聴きながら、その夜のセットを確認しながら、いつものように緊張している姿が
現実だ。まさに愛憎の間のマイク稼業っす。各街、野外や深夜、時と場所は様々でしたが、俺には全ての街の情景が残ってます。全ての街が全部違って、
全部意味があった。5年前の方が良かったって思った街なんてない。今、お互いこうして生きられて、出会えて、好きな音楽を鳴らせている事に万歳だ。
写真も沢山載せてます。AIR JAMでのHayachiN(俺の写真もあるけどヤバいのは彼が撮ってます)始め、それぞれ地元のカメラマンが撮ってくれてます。


俺から見えた景色、皆と同じか、近いといいなと思う。でも、拘束はしない。全部一緒なんてあり得ないし、気持ち悪い。仮に違っても、それはそれで
あなたの真実。あなたにしか導けない答え。否定はしない。むしろ興味深い。同時に俺はそれに囚われもしない。そういう関係。さ、振り返っていこう。


福井。何度も呼んでもらってる街。行く度に言ってるけど最初に行ったのは2000年。その時の「時代は変わる」は、TBHRのコンピ「ONLY FOR THE
MINDSTRONG」の最後に聴ける。小松空港から箱へ。CREME。DYEが入念に音作り。昔から今もずっと変わらぬ面子。笑いがあって、ホッとするね。
飯は近所の和食処。本場の鯖にヤラれる。で、本番。いつも暑いけど、何か2曲目くらいで既にフラフラ。あれ?今日めちゃ暑いね。4曲目辺りになると
もう既にサバイバル。おいおい!これ!完全に!クーラー壊れてるっしょ!気づいたところでもう遅い。後戻りなんてできねえ。全員であり得ない熱気を
耐え、切り開いて進んでいく。ヤバかったね〜。今年1番修羅場。そりゃそうだ。だってクーラー壊れてんだもん!何と言うか、厳しい旅ほど後々の思い
出が深く残るって事っす。キツかったけど、乗り越えられたのは皆がいてくれたからです。ありがとうございました。終わってからのビールも今年1番!

岡山。何やらド派手にオモロい事になっていると、あちこちから耳にしてた岡山のクラブシーン。俺も楽しみにしてました。前回はライブハウスだった。
今夜の舞台はYEBISU YA PRO。広っ!リハの時点で個性満載なスタッフ、共演者が続々登場。皆、笑顔で、ワクワクしてるのが伝わってくる。アガる!
何かが起きそうな雰囲気。まずは飯。前日の疲れも残っていたので肉をリクエスト。行った先が激旨でした。しっかり喰って本番に備える。箱に戻ると
まさに既に沸騰中のお客さん。俺等の前は主催のLEESOKのライブ。これが何か、ありそうでない感じ。ポジティブで温かくて良かったっす。で、俺等。
この日も戦場でした。暑いフロアー、熱いお客。向かい合い精一杯やらせてもらいました。そこでも言ったけどああいった状況では上手くライブするとか
より1曲1曲全身全霊で乗り越えていくって感じです。ありがとうございました。終演後の皆の遊びっぷり、さすがの勢いでした。岡山、確かにキテた!

水戸。久々の上陸。過去の二夜と同じく舞台はBUBBLE。しかも11周年の祝いの夜。茨城空港ができてたから札幌からいい感じで行けました。この日は
PAのナオミも来てくれたし、箱の音響もばっちり。今も止まらない伝説のHIP HOPタウン、水戸でのライブは独特の緊張感が常にあるよね。極上の鴨鍋
たっぷり食べて本番へ。箱に着いて控え室へ。で、1番最初に会ったのがL.T.SのGOCCI!しかも!このタイミングが初対面。お互い同い年。キャリアも
出てきた時期も近い俺等。ずっとこの世界に生きててここで出会ったんだ。挨拶もそこそこにまずはお互いライブ。いいね。TAD'S A.C.も来て、L.T.S.の
クラシックにお客も上がってる。俺等もがっつりぶつかっていった。お客もがっつりぶつかってきた。この日も熱かったぜ。ありがとうございました。
終わってからは力を抜いて、昔からの水戸の友人、そしてGOCCIやTAD'S A.C.達とワイワイ呑む。10年以上分話したい事があったんだ。良い夜でした。

宇都宮。かつてPLANETという箱がそこにはあって、そこで俺等、過去何度もライブやらせてもらってきた。この日はPLANETが新潟に移転してからの
初のライブ。舞台はNEST。ここも老舗。ずっと昔から繋がってはいた。タイミングを長い間計って、そして遂にその時は来た。ナオミも引き続き帯同。
音楽がしっかりと中心にある箱っていうのはどこの街であってもすぐに解るね。楽しみ。この日は何か街コン?ってのやってて街が賑やかでした。箱に
戻るとストイックな音楽ジャンキー達ががっつり入ってた!これにはアガったよ。で、本番。このライブがとんでもなかった。何度も宇都宮では良い夜を
過ごさせてもらってきたけど、楽に全てを超えたね。凄かったね。心の深い部分での一体感が究極でした。これはステージの俺等だけじゃないはずだと、
多くの人と繋がっていたと今でも確信してる。諦めずに長くやってるとこんな日があるんだなって思った。ありがとうございました。また会いましょう!

姫路。向かうは最高音響を擁するFAB-SPACE。2004年初上陸以来、数えきれない夜を分かち合ってきた。神戸空港着陸。からの〜洋食の朝日。ここは
マジ名店っす。ビフカツ最強。こんな店地元にあったらな。からの〜加古川、FACTORY NO.079へ。夕方姫路到着。まだ暑かったね。少し宿で仮眠して
リハ。神戸からSTATE、ARCHITECTも合流。どんな夜になるかはステージに上がってみないと解らない。でも持ち得るベストを尽くすべく、リハも音、
照明共に入念に。飯。何やら自信ありげな主催のタクちゃんが連れてってくれた先はスペインバル。いや〜出てくるもん全部旨かった。ゴチした!で、
本番。ステージ上がって直感でお客のテンションが何気に低く感じた。なるほど。ならばって感じで煽っていく。時に挑発すら投げかけながら。段々と
近づいてくる心の距離。一か八か遠慮なし。ぎりぎり最後に全員で到達できたと思ってます。底にいてくれた皆のおかげです。ありがとうございました。

AIR JAM。どこも等しく貴重な機会なんだけど、ここも絶対に落とせないヤマ場中のヤマ場。フジロック終わってからはずっとこの日を頂上と定めてた。
昨年の横浜開催の時にも難波君からオファーを受けてて、でも製作期間中だったから断ってた。北九州の宿に籠ってリリックを書いてた時がその前日で、
俺、難波君に電話したんだ。向こうはちょうどリハ直後でステージの上。俺は「健闘を祈ってるよ」と伝えた。そして難波君は「来年は頼むよ!」って
言ってくれて、その時点で今年の出場は決まったようなもんだった。今まで出たどんなフェスとも違ったな。とてつもない強者達がひしめいてるんだけど
一体感というか仲間意識というか、でも決して強制的なもんじゃなくて自由な空気もあって、でも負けず嫌いのバケモンみたいな奴等があちこちにいて、
とにかくエラい楽しい事になってました。俺等は2日目の2時半頃に出番。太陽が頭上で輝いてた。はっきり言って俺等にはアウェイだ。HIP HOPからは
俺等だけ。でもね、ステージに上がってしまえばジャンルなんて関係ない。絶対に通じると信じてた。だって日本語だもん。気持ち込めて話しかければ
通じるはずだと。そういうパーティーだと。無論楽しみにしてくれてる人もいるはずだし、舐めてかかってる人もいるはずだ。でもね、絶対に説き伏せる
つもり満々だった。持ち時間は40分。それは一瞬の出来事でしたが、イメージの上を行く、真昼の夢のような、貴重すぎる時間だったよ。ステージから
見えた景色は今も目に焼き付いている。東北へ伝えたい事、全て言わせてもらいました。ありがとうございました。しかし俺等の時間など、この日では
まだまだ序の口。俺の達成感を根こそぎ揺らしにかかってくるがごとく、スゲエ奴等が次々出てきやがる。プロばかり。またどいつもこいつも尖ってて
カッコいいんだ。ったく参っちまうよ。ワクワクと、なんつーかその、ポジティブなんだけど一種の悔しさのような気持ちが終始こみ上げてきて、それが
他のどんなフェスとも違って、とにかく独特でした。馴れ合いでもなく、嫉妬でもない。友情と負けず嫌いが見事に共存していたね。まだまだ上には上が
あるという事を、繰り広げられる目の前のライブを観ながら納得させられてました。愛と希望、言葉にするとそこら中に安っぽく転がってるものと同じに
読めるかもしれないけれど、あの場にあったのは、あの場の皆で共有してたのは、その中でも信じるに値する純粋さを持っていた。そしてそれらは儚くも
あの日で消えてしまってはいない。今、まだ自分の中にちゃんとある、そう思う。誤解や勘違いや無理解に取り囲まれていたとしても、そこが自分の選ぶ
最良の道だと信じて進んで続けていけば、良い事あるよ。解ってくれる人は必ずいる。イケイケで頑張っていこう。ハイスタンダードの御三方!そして!
あの日会った、愛すべき偉大なる音楽馬鹿野郎達。心からリスペクト。また勝負できるように俺等も精進続けていきます。AIR JAM、ナイスパーティー!

名古屋。激戦はまだまだ続く。落胆は引きずらず余韻にも浸らないってやつだ。6月27日の全国ツアー初日から、1周して名古屋に戻ってきた。舞台は
初登場JB'S。ずっとここでやりたいと話してた。名古屋の夜のある意味メッカ。競演の面子も地元052のメンツをかけた強者揃い。しかもクラナカも!
まずは飯。大好きな山本屋。いつ来ても安定の味、これぞ名店。しっかり喰って本番。ぎっちり詰めかけてくれたオーディエンス。初っ端から沸点超えて
上がりっぱなし。しかしライブは長丁場。どん底行ったり、山あり谷ありの75分。決して余裕などない綱渡り。灼熱の中、やってるこっちはただ必死に
言葉を吐き出してました。終始がっつり支えて、上げて、受け止めてくれた皆、ありがとうございました。ハードだったが、皆のおかげで何とかやり遂げ
られた。最後はG.CUEとの「真夜中の決闘」。念願かなって名古屋でできた。マジで感謝です。次々現れる名古屋の顔役達との乾杯、旨い酒ゴチでした。

大阪。連夜の激戦。帰ってきたぜ、大阪名物ZETTAI-MUに。舞台は初登場グランカフェ。夕方着。即リハ。競演するDJ A-1と邂逅。SHINGO2とは昨年
NYC以来の再会。カウンターでカレー喰ってたら隣に座ってたのがSHINGO2だったんだよな〜。広い世界で隣の席。あん時はビックリだったな。昔から
ZETTAI-MUで爆音修行を共にしていた同志、REBEL FAMILIAとも久々の競演。俺等アンダーグラウンドの同級生みたいなもんやね。大阪の賑わいは
街自体のエネルギーに元気もらう感じ。飯喰って箱へ戻る。SHINGO2のライブを久々に観る。コンシャスなメッセージ。リスペクト。で、本番。俺等も
お客もぶっ飛ばしたね〜。いつもよりも時間の経過が早く感じたな。それ位、終始突き抜けてた。何度もライブやらせてもらってきたZETTAI-MU。今も
俺等は常に更新してるぜ。ありがとうございました。トリの大将、クラナカの安定感と重量感ありまくりのプレイも素晴らしかった。17周年おめでとう!

東京。ホームLIQUIDROOMへ帰還。7月3日以来。この日はenvyとのツーマン。この顔合わせ、2009年に1度組まれたブッキングだったのだが、不慮の
事態で中止になっていたんだ。その時、「お互い生き残ってまた必ずやろう」って感じのメールを交わしたのを憶えている。あれから3年、遂にその時が
来た。お互い約束通り生き残った。相手にとって不足はなし。超楽しみにしてた。出番は俺等が先攻。お客は俺等とenvy、お目当てが半々くらい。真正面
からぶつかっていくのみ。間違いなさすぎる音響の中、言葉はどこまでもクリアに中空をお客めがけて飛んでいく。70分と短い時間だったがばっちりあの
高みに到達できた。ありがとうございました。後攻、envy。噂以上のパフォーマンスに度肝を抜かれる。スゲエ。この組み合わせバッチリ。メンバーとも
話してたが、見事に両者「引き分け」。楽しすぎました。再びこんな対戦できるようにもっともっと腕上げないとダメだな。うん。収穫の多い夜だった。

松山。4年ぶり4回目。東から向かう俺等と待ち合わせるように西からは台風が。着陸すら分からない中でのフライト。無事到着。この日、箱は初となる
老舗BIBROS。仕切ってくれるのはタイスケ。彼のお店、ATTACK STOREの7周年。盛り上げるぜ〜。音作りは当初難航したものの、DYEとPAさんが
最後まで諦めなかったおかげで無事終了。飯は瀬戸内の幸。鯛旨っ!外出るといよいよ雨が降ってきた。皆、来てくれるかな。箱へ。着いたらびっくり。
最高ホットな事になってたね〜。本番、ぶっちぎりに突き抜けてた。天気や音や集客やシンクロ、心配事は全て一瞬で吹き飛んでったよ。ノリは一度も
下がらずに最後まで行けました。地元は無論、四国中から集まってくれた皆、助けられたよ。ありがとうございました。終わってからも昔からの松山の
仲間GARAのDJ聴きながらワイワイ話し笑い、地元の焼酎、泥亀をロックで美味しくいただきました。9月のライブ行脚、最後が松山で良かったっす。

佐賀。またあのフェスに出る事、色んな音楽家に出会える事、楽しみにしてましたが、台風のため中止。こればかりはしょうがないね。次回を待ちます。


10月もライブの日々。そこで待ってます。待っててください。

ILL-B