3月。
あれから10年目の3月。
10年経っても、かけられる言葉は多くはない。魂の平穏を祈るばかりです。こうして音楽と共に居れる事、感謝です。皆、いつもありがとう。共に行こう。
ここで、これまでには考えられなかった、予想だにしなかったプランをこのタイミングで話せるのも、これもまた何かのきっかけなのだと思います。
我々の旅は遂にYOU THE ROCK★のアルバムのリリースまで辿り着きました。
どこから話せば良いのか、、、伝えたい事は山ほどありますが、まずは今作に至る経緯から始めます。
YOU THE ROCK★とTHA BLUE HERB。このドラマの発端は遥か20年以上前まで遡ります。当時東京で日本のヒップホップの頂に居たYOU THE ROCK★、
そしてそんな東京主導のシーンに馴染めず地元札幌から発ったTHA BLUE HERB。意地と意地がぶつかり合うヒップホップにおいて、両者が相容れないものと
して衝突するのは当時の状況からは避けられないものでもあり、事実THA BLUE HERBはYOU THE ROCK★をDISし、攻め込む形でシーンにおける居場所を
作っていった。ただ、YOU THE ROCK★とILL-BOSSTINO、ラッパー同士としての邂逅は幸運にもその直後から始まり、同い年でもあり、両者の距離は年を
追う毎に狭まっていく。ILL-BOSSTINOの別名義、tha BOSSのアルバム収録曲「44 YEARS OLD」において両者のコラボレーションは実現し、その後も
ライブで共演を重ねてきた。そして唐突にこの時は訪れたのです。2019年冬、中目黒の居酒屋で呑んでいたYOU THE ROCK★とILL-BOSSTINO。酔いの
弾みで「O.N.Oがビートを創って2人で1曲創ってみたら」という話が転がりに転がり、「どうせならアルバムまでやろう」と、今作の構想にまで一夜にして
一気に辿り着いたのです。本格的な動きは翌年2020年の夏から。YOU THE ROCK★が単身札幌まで来てO.N.Oのスタジオに連日通って、2人だけの制作を
秋まで続けていました。O.N.Oにとって、このYOU THE ROCK★という稀代の表現者との1対1の作業がどれ程までに彼の創作意欲を刺激し、そして大きく
弾けたかは、本作に収められたビートの多彩さ、抜けの広さ、開放感、何よりラップとの相性の良さに十二分に現れています。音と言葉の化学反応が全曲で
炸裂してます。そしてレコーディングは12月から、これも札幌で。ここからILL-BOSSTINOも制作全般に加わり、スクラッチにDJ DYEが参加して、文字通り
THA BLUE HERBプロデュースの元、YOU THE ROCK★の声が11年ぶりのアルバムへ吹き込まれた。俺の愛するヒップホップでも最高に純度の高い物語だ。
YOU THE ROCK★というラッパー。名前だけだったら誰でも知ってる。もっと深い所で知ってるという人もとても多い人なんだと思う。あの栄光の時代と
共に憶えてる人もまだ多く生きているはずだ。そしてある種不遇の時代に知った人もまたいると思う。我々THA BLUE HERBにとっての因縁以上に、ヒップ
ホップファン、それ以外でも、あらゆる人々のそれぞれの実像やイメージの中で、良い事も悪い事も含めて、YOU THE ROCK★というラッパーがもうずっと
何かしらの場面で存在していた事と思う。実話、伝説、噂、熱い兄貴、チームリーダー、チャカメカお祭り男、パーティーロッカー、証言、さんピンCAMP、
テレビ、CM、ビーフ、挫折、不在、、、。色んな実像、イメージがある事だと思います。俺自身、ILL-BOSSTINOというラッパー個人にとって、YOU THE
ROCK★はいつもそこに居て、最初は商売敵として、やがて大切な友人として、俺なりに彼を知ってきた。最初は憧れの類として、やがて大切な友人として。
俺は今回全て見てたんで保証する。彼はやり切りました。明暗陰陽、出し切った。彼の人生全てだと思う。そしてそれは最高にフレッシュでファンキーです。
YOU THE ROCK★のアルバム「WILL NEVER DIE」。ビートは全てO.N.O。プロデュースはTHA BLUE HERB。5月12日発売。詳細は来月ここで。
3月31日に先行で7インチが出ます。タイトルは「MOVE THE CROWD, ROCK THE HOUSE / T.O.U.G.H.」。数は多くないのでご予約を。通販もやります。
YOU THE ROCK★という人間ドラマ、もちろん先はまだまだあるし、俺が言う事じゃないけど、これはいきなり思いの外からのクライマックスだぜ。これを
ここまで読んでくれている人にとっても、既にワクワクが芽生え始めている事と察します。ほんと俺なんかの絡みはふりかけで、本質は一点。YOU THE
ROCK★の帰還です。もし彼を知っている人がいれば、お伝え願います。この展開はマジ奇跡です。多くの人に知って欲しい、参加して欲しいと思う。俺さ、
よくここで言うし、曲でも言うんだけど、歳月を生きたとしてもまだまだここから何かが始まるんだという想い、それは当然あなたにも、そしてYOU THE
ROCK★にもあり、そこにチャレンジする時もまたあり、そして今回はYOU THE ROCK★の番だという事です。それがTBHRを賭場にして行われるのです。
こんな時が来るとはと、まだ半信半疑でありつつも、その時はすぐに来ます。5月。始まりの春に帰ってくる。思い出すのかな。自分をも。あれからずっと
先にも、まだこんな続きの話があった。YOU THE ROCK★はその先で待ってる。”またいつか力一杯やるために俺はなんとか崖っぷちに立ってる毎日さ”。
楽しもう。
ILL-B