12月。
今年もあっという間にここまで来て、それはあっという間に過ぎ去って行く。今年も色々ありましたが、最後笑って終わるためにもうひと頑張りですね。
10月後半から1ヶ月、久々に海外に旅に行ってました。コロナ禍ではずっと我慢してて、せっかく新調したパスポートも使う機会のないままだったんで、
やっと出来た仕事の合間、アムステルダム、リスボン、セビーリャ、コルドバ、マドリード、再度アムステルダム寄って帰ってきました。基本、街を歩き、
酒を呑み、飯を食う。合間に本を読む。終始そんな感じでした。どこも良かったです。約4年ぶりの海外で、この4年、特にコロナでね、社会の仕組みとか
にも大きな影響あっただろうし、あとは円が弱くなっててね。これは何気に覚悟はしてたんだけど、日本国内では感じられない変化がありましたね。元々
ユーロは高い印象があったけど、加えて昨今の物価高はヨーロッパも例外ではなく、オーバーツーリズムも相まって、どこも強気で、毎度円に換算すると
中々厳しいものがありました。でもそれは行ってる間よりも帰ってきてからの方が思う事は多くて、何というか、逆にこの日本の大変な状況が垣間見えて
くるわけです。一応G7、先進国っての、まあもう何が先進かなんて分からない、色々と周回遅れな国ですが、一応そこに属して、これだけグローバル化が
進んでて、物事が同時並行な時代に、500円ワンコインで食べられる食事、その差を思うとね。500円、3ユーロね。アムスではクロワッサン1個と水も
買えません。こっちでは牛丼食べられる。水も飲めるし、何なら七味も紅生姜もある。凄い事です。それが成立してるって事は、つまりこの国の誰かには
しわ寄せが行ってて、その人だけが思いっきり苦労してる。500円であれだけのものが食べられるって事は、これは誰かが思いっきり損してる、その証左
なんですね。それ経営者が自ら損して国民に安い食事を提供してるとかは考えられない。やはりそれは作る人やサーブする人や原材料を作ってる人、その
辺りの人達が大きく損していて、言い換えればがっつり搾取されてる。そう思うと日本は安くて良いな~と呑気に片付けられない気持ちになるんです。
俺、よく言うんですが、日本はこれからどんどん貧しくなっていって、俺等も含めて年寄りが増えていって、若い人は減っていって、国力の減退は確実な
わけです。でね、例えばポルトガル。ここには大航海時代ってのが昔あって、その頃に世界獲ってるんですね。文字通りそれは植民地からの冷酷な収奪が
力の殆どの源泉なんですが。スペインも。でも結局その後の新興国、イギリスやオランダに抜かれて没落を経験してるんです。今はEUに加盟してますが、
別に世界経済をリードしてるとかじゃない。名目GDPも2022年は世界50位。日本は3位。で、街を歩いてても、旅行者目線ですが端的に言って結構ガタ
がきてる。豪奢な建物は殆どが昔のもの。でも、これはヨーロッパの都市全般に言えるんですが、どこも古いものを上手く使っててね、それがかえって
渋く見えたりする。石の建築と木の建築の違い、気候の違い、もちろん文化の違いもあるから、日本がどうすべきだとは言い切りません。でも新市街より
断然旧市街の方が歩くの好きです。繰り返しますが住人と観光客の目線の違いは大いにあります。でもその旧市街が観光客を集めてるのが現状なんです。
これは日本だと京都とかね。言いたいのは、別に新しいものが万能ってわけじゃない。古いものにも大きな価値があるって事です。街並みや建築だけじゃ
なくて全てに、どの街にも当てはまる。でも経済原理だとそれを生むのに仕事が生じるから新しいものが良いに決まってる。この思い込みは発展途上に
ある段階だと一定の効果はあるとは思う。皆で頑張るモチベーションになる。でもここはもうその経済的には衰退国なんです。何でも壊して新しくする、
こんなのもう続けられません。だってもうお金がないから。東京の中心地なら何とかやれるでしょう。でも札幌ですら駅前でもビルの跡地は駐車場です。
そもそも、路地裏の古いビルの階段上がっていくお店って超好きでしてね、そこが立て壊されるとかの度に残念がってて。それで完成したビルがまたどこ
にでもあるようなやつでさ。っていうかこれは日本中、世界中、どこ行っても駅前は大体そうだよね。駅前通りって大企業のチェーン店ばかりでさ。でも
日本は更に一歩入ったとこ、そういう部分までとことんまで壊して新しいハリボテみたいな街に作り変えていく。もったいないな、と思う。近代的とか、
モダンとか、その言葉に踊らされて元々持っている最良の部分を既にもう随分失った。そして結局人がいなくなって駐車場になってって。どこもそう。
これは受け取り方によってとても苦しい事に聞こえるかもしれないけど、もうしょうがないから衰退を受け入れて、で、慣れていく。繁栄とは、経済的な
お金で計れるものしかないっていう呪縛から自由になる、これしかないんですよ。ポルトガルとかスペインとか、一時の繁栄から落ちてって、その競争から
リタイアしても全然惨めには見えない。悲壮感よりも余裕すら、その競争からの開放感すら感じる。俺はそこに1つのモデルがあるな、と思ったっすね。
俺等世代は幸運にも戦争を知らないし、割とそこからの復興の時期に生まれ育って、それはゼロからどころかマイナスからの出発だったから、そりゃ右肩
上がりはします。ただそれは朝鮮戦争、ベトナム戦争にある意味加担しての復興でもある。勤勉に仕事をやり遂げた人達は偉大だし、今日の日本の便利は
その方々のおかげです。それは明らかです。でも、それは自力というか外的要因なんですね。あとはもう線路作って、道路作って、ビル作って。ある意味
国土を、身を削ってここまで来た。将来人口が減るのがはっきりした今もそうしたいけど、造り過ぎたやつが壊れてきて、直せず、往生してくのが現実。
バブル景気だって投機的なマジックだし。俺にはこの国が、自力、地力というものを自己で過大評価してるとしか思えない。勤勉で、正直で、真面目に
働く、これは美徳です。美徳、でもそんなのは弱肉強食でしかない新自由主義の世界では大した意味もない。稼ぐだけ稼ぐ。持続性もない。そんなエグい
システムに与しつつ、国民性にまで浸透しているその美徳を盾に搾取を続けている、税金を搾り取っている、それを中抜きしている、その側ならまだ分け
前はあるのだろう。そっちじゃなくて何よりも誰よりも、そうされるがままの側の、不条理な運命に泣けてくる。そんなラットレース、俺はやってらんない。
クソが。お前らのコントロール通りにされねえんだよ、こっちは。没落していく祖国で上等。今まで良い暮らしをさせてもらった。これからの世代には
ごめんとしか言いようがないし、出来るだけ迷惑かけたくないと思ってるけど、とにかく、元々大した資源もない民主主義も外的要因で手に入れた国が、
芸能事務所の犯罪も外的要因で解決してくような国が、なけなしの人的資源にも男女差別や入管の振る舞いとかで無理解である事がバレちゃってる程度の
国が、身の丈ってやつを忘れちゃならんのですよ。別に無理しなくて良いんです。焦んなくて良いって。ゆっくり行くべ。15分早く着くとかのために山を
崩してとかもうやめてさ、旅の過程を楽しむべ。世界に名だたるとか、そんなのお金で変えるもんじゃないです。尊敬って、そういうもんじゃないです。もう
2023年。国、祖国、故国、ファンタジーじゃないんです。ファンタジーに立脚した愛国心や誇りなんて意味ないです。あのね、俺等は既に持ってるって。
歴史も、文化も、食も、最高っすよ日本。こんな美しくて、ユニークで独特な国ないっすよ。それでもう良いじゃないですか。外からの見栄えばっかりに
こだわって海外にお金バラまくとか、最低時給で困ってる人大勢いるじゃないですか。オリンピックとか、経済効果なんかより中抜きとか収賄とかしか
残ってないっしょ。今だと万博とか、日本がどうしたとか、何かナショナリズムくすぐってくるような大仰なスローガン並べて、それで実現出来なくて、
でもまた後にも戻れなくて、お金を注ぎ足し、終わったら終わったで何となく終わっていく。それ税金ですよ。無駄の極致ですよ。これからお金が減って
いって、逆にお金がかかる時代が来るのは確実なんだからさ、もっと大事にしろよ。っていうかそんなに国会議員いらないっしょ。なんてね。色々思う。
久々長え。すみません。そんなに考えがまとまってるってわけではないです。全てを知ってるわけでもないです。でもね、俺、これはいつも思ってた。
慣れていく。電車が10分遅れる程度の事に。駅のエスカレーターが止まってる事に。銀行の窓口の待ち時間が長い事に。夜の街が暗い事に。慣れていく。
しなやかに。適当に。そこの完全さを突き詰めていくばかりに誰かに苦労心労がのしかかるような社会、そんなの豊かじゃない。少しずつ、慣れていく。
卑下しないで。っていうかそれが豊かさじゃないか、と思うんです。まあ、それは富の分配を政治が行う事が前提ですが。。。いやいや思索は尽きません。
ここで1曲。歌詞、凄えよ。
良いね。OK。頑張ってこう。ハッスルしてこう。OK?
山口のBUPPONのアルバムが出まして、そこで1曲誘ってもらいました。12月3日地元山口で一緒にライブです。真摯なリリシストです。MVも出ました。
例年12月29日に東京LIQUIDROOMでやってた年忘れライブ、今年は「YEAR END TOUR 2023」として5ヶ所でやります。以下、前売り発売中です。
12月20日(水) 名古屋 HUCK FINN こちら残りわずかです。
12月22日(金) 京都 CLUB METRO
12月24日(日) 大阪 Yogibo META VALLEY
12月26日(火) 札幌 KLUB COUNTER ACTION こちらは完売しました。ありがとうございました。
12月29日(金) 東京 LIQUIDROOM こちら残りわずかです。
12月29日のLIQUIDROOM、ライブの前の時間に2階のTime Out Cafeで昨年同様THA BLUE HARVESTを開催決定です!こちらTHA BLUE HERBの音楽で
繋がった全国の生産者や料理人が集まって、皆で美味いもん食って、美味い酒呑んで、そしてライブ観ようっていうイベントです。昨年も大盛況で、俺も
お客も参加者も超楽しみました。気持ち込もった料理食べて、俺はそれをエネルギーにライブやって、観てる人もまた何かを受け取ってって感じの想いの
循環が起きていて、最高っす。なので当日は是非お早めにお腹空かせて来て下さい。こちらTHA BLUE HARVESTのWeb内でインタビューも受けてます。
年末、今しかない雰囲気あるよね。良いよね。この時期の浮かれ具合が俺は好きです。楽しもうぜ。
もう1曲贈ろう。
ILL-B